みんな、愛し方を忘れてる。



「てか、まだ煙草吸ってるんですね」
「幸福の一服なんだよ」
「体に毒ですよ」
「はいはい、いつかは止めますよ。そういうお前らは何しに来たんだよ?あっ、まさか、イヤらしいことでもする気なんじゃ・・・」
「ふざけないでください。ここでそんなことするわけないでしょ。花火、見に来たんです」

圭汰との思い出が沢山詰まっているここでは、嫌でもその思い出たちが頭を掠めて、そんなことは出来ない。

だから、イヤらしいことをしていたのか、などと聞くのは愚問だと、圭汰だって知っているはずなのに、何故そんなことを言ったのだろう。
いや、逆に、知っているからこそ言えた言葉なのかもしれない。

なんて思いながら、ふと灯に視線を向ける。


圭汰と話しながらずっと気になっていたのだけど、灯は一体どうしたのだろうか。

私の一歩後ろをついて来たものの、灯は笑顔一つ見せないで、会話に参加しようともしない。
ただ、窓の外の景色を、じっと睨むように見つめている。