みんな、愛し方を忘れてる。



そして寸秒、視聴覚室内に重苦しい空気が漂ったが、煙草の先に溜まった灰が床に落ちたことで、それは掻き消された。

「わっ!・・・やべえ」

圭汰は床に落ちた灰を見て、悩ましい表情を浮かべた。
だが、すぐにそれを足で床に擦り付け、何事もなかったかのように、煙草の火を、近くに置いていた灰皿の中で消す。

私と灯は、入り口に突っ立ったまま、その光景をただ呆然と眺めていた。

すると、圭汰は再びこちらに目を向け、

「・・・今の、内緒な」

と、苦笑い。

「・・・ここ、吸っていいんですか?」

私は愛想笑いを浮かべながら、ゆっくり圭汰に近づく。
圭汰は窓を閉めながら、うーん・・・、と曖昧な返事をする。

私はわざと、そんな圭汰をからかうように笑った。