みんな、愛し方を忘れてる。



しかし、

「でも?何かあるの?」

そう問われてしまわれれば、返す言葉はないわけで。

私は断りたい気持ちを抱えながらも、理由を言えないことと、今にも吐きそうな気持ち悪さから、渋々首肯した。

「じゃあ・・お願い」

私が頼むとすぐに、小日向くんが圭汰を呼び、私は圭汰に支えられながら、何とか圭汰の隣の席に腰を下ろした。

その席はバスの一番前、左窓側にあって、通路を挟んでも、圭汰以外、同じ列には誰もいない。


私は窓に凭れながら、ぼんやりと前方を見つめる。

「・・・おっ、あった。冬穂、薬見つかったぞ」

隣で自分の鞄を漁っていた圭汰が、小さな箱を手に、私の肩を叩く。
私はゆっくりと体勢を立て直し、圭汰を見た。

圭汰は酔い止めの薬が入っていると思われるその箱を、シャカシャカと振りながら、私に、

「飲める?」
「うん・・・・」