みんな、愛し方を忘れてる。



圭汰の声で、バスが動き出す。

バス内は既に騒がしく、圭汰の声もほぼ通っておらず、多分後ろの席の人達には、一切聞こえていないだろう。

全てを忘れるどころか、新たな悩み事や面倒事を抱えて帰る羽目になってしまった林間学校だった。

そう、バスの外にある木々を見つめながら、この三日間を振り返る。


予算の都合か学校の意図か、行きは歩いて登ってきた山を、帰りはバスで下ることになった。

クラスごとに用意されたバスの、真ん中あたりの右窓側の席が、私の座っている位置だ。

隣では灯が、通路を挟んで隣にいる小日向くんと、楽しそうに話している。

望未ちゃんはそのまた向こうの席にいて、左窓側だ。

小日向くんは、望未ちゃんと隣なのをものすごく嫌がっていたけれど、私と望未ちゃんの仲を気にして、結局承諾してくれた。