奥さんだけじゃ飽きたから、私と付き合った?
ノリで結婚するから、私を振った?
ふざけるな、と圭汰を殴りたくなった。
圭汰の気分に振り回されて、それを今も引きずっているなんて、あまりに私が悲しくなる哀れじゃないか。
少なくとも、付き合っていた時は圭汰も本気で愛してくれていたと、思っていたのに。
そう、思っていたかったのに。
それは例えば、ずっと仲が良かった両親が実はずっと仮面夫婦で、いきなり離婚を告げられるような、一番大切なものを握る潰されるような、孤独感と喪失感で。
その絶望は、痛みは、振られたあの頃よりずっと大きかった。
どうして今更そんなことを言うの、と圭汰を責めたくなる。
「・・・分かってる。俺も、最低だったと思うよ。だから、苦しいんだよ。結婚して、家で嫁の笑顔見る度に、お前の顔を思い出す。何かある度に、冬穂のことばっか考えてる。俺だって、俺だって、どうしたらいいか分かんねえんだよ!」


