バンッ!


勢いのまま扉を閉めてしまう。

そのまま、窓際の席に誘われるように座る。


なんで、涙が出てくるの。

なんで、気持ちが収まらないの。

なんで、素直に祝福できないの。

なんで、友達の幸せを願えないの。


____なんで、なんで、なんで。


前からふたりが幼馴染で、きっと今日が来るなんて分かってた。

そんなの入学したときから、ふたりは外部が立ち入ることが出来ない特別な空間を持ってたから。

だって、近くで見てきたもん。

だから、好きだと自覚したときからは覚悟してた。


七瀬と付き合えたら、なんて夢のようなこと今まで数えられないくらい思った。

でもその度に、彼女の存在が今まで以上に大きなものだと実感させられたんだ。



いつからだろうか、その覚悟を確実なものにしたのは。

自分の気持ちを伝えられなくても、『仲のいい友達』でいると決めたのは。

七瀬が彼女のものになったら、たとえ少し時間がかかっても心から祝福すると決めたのは。