いつも通りの生活。
左手には点滴の針が刺さっていて、よく見なくてもわかる傷痕。点滴をし続けて針を何回も変えるとこんな打撲したみたいな傷が残る。
別にどうってことないけどね。
私の存在を知っているのなんて、この世界では、お父さんとお母さんと、私の身内と、蒼…そして蒼の身内。
あとそれからこの病院の人たち。
私がね、私が死んだところで何も変わらないんだ。
そりゃあね、蒼やお母さんたちは悲しむけどそんな悲しみいつか消えてるよ。私の存在なんてこんな大きな地球と比べてみればほんの些細でちっぽけなごく一部。
ある人が「命はかけがえのないもの」なんてテレビでいってたけどさ、そのかけがえのない命を大切に使おうと思い続けてるのは人間くらいだと思うんだ。
他の動植物も確かに命は大切にすると思う。でもね、私が言いたいのはそんなことじゃないんだ。人間は欲張りだって言いたいの。
人間は自分のことのために動物や植物を殺す。弱肉強食の世界だから当たり前とか思うかもしれないけどね、よくよく考えてみれば結構残酷なんだよ。
知ってる?
江戸時代にえたとかひにんとかいう役職の人達がいて、その人たちは、牛の皮や肉を切ったりして食料にしたり、衣類にしたりしていて、血に触る仕事だからって差別を受けてたんだよ。でもね、口で差別しながらもその役職の人達が作った食料や衣類を身に付けるずるいやつだってなかにはいたんだ。
そんなことって、良いと思う?
私はダメだと思うんだ。
差別は嫌いだからね。
今の日本もそうだよ。
朝鮮や韓国、中国に対して差別する人がいる。
いつも思うけどさ、そんなに差別して何が楽しいの?アンタらは差別しつつ、韓国や中国で作られたものを普段使わせてもらっているんでしょって、お箸とかも、中国から来てて、私たちは色々な情報をもらっているんだよって思うんだよ。
だから、せめて差別はやめないといけないと思うんだ。
顔や形が違っても、私たちは人間だよ。同じ人間。顔のパーツが崩れていても、足りなくても、からだの位置が足りなくても、脳の発育が少し遅れていても、からだの一部が少し弱くても、差別はしちゃいけない。
マザー・テレサを見てみればいいよ、そういう人は。私は、あの話が大好きだから。あの人は、私の尊敬する人。
あぁ、神様…!!
神様は何で私を選んだの?何で私がこんなに思い病気にかかってしまったの?…私、何かしたのかな?私の前世が何か悪いことでもしたのかな、もしかすると来世かな
神様、天使様…
お願いします…、もしも、もしも私の願いをひとつでも叶えてくださるならば…
私の病気を治して、「普通」の元気一杯の女の子にしてください。こんな、自分の願いを乞うなんて恥ずかしいことをお許しください。私みたいな人は、世界の人の平和や、戦争を無くすことなんかを願うべき人なのですが、私も普通の生活を送ってみたいんです。家族で笑いあって、喧嘩して、仲直りしてっていう、そんな生活を、送ってみたいんです。
神様…。
どうか、私を、
自由にしてください。