「亜美ちゃんは何が食べたい?」


歩きながら智君ママに聞かれた。


『あっ、何でも!』

「それ一番困るよねぇ」

『…ですよね』



結局私の好きなグラタンになった。


「智グラタンあんま食べへんからなぁ〜」


『そうなんですか?』


「……下の子は好きやったけど‥」



あっ…家を出てった妹…―

『智君から聞きました…』


「何やってんやろ…あの子は」




私は何て言えばいいのかわからなかった。

‘大丈夫ですよ!’

何を根拠に? 


‘帰ってきますよ!’

本当に?もし帰ってこなかったら?


考えると何も言えなかった。



「智と…仲良くしてあげてな?」


『はいっ!』



それからも話ながら買い物を済ませると、智君の家に戻った。