【カキーン】と勢いよくビールの缶を空けて、
喉元に流しこむ沙耶子。


「あんたが死んだら、私はこうしょうって決めてたんだ。
あんたの遺影の前で、ビールを飲んで語り明かそうってさ。
やっぱさ、夫婦は本音がないとつまんないじゃん?
私ら、嘘つき夫婦だったもんね?
参列者の人が私を憐れんだり、あんたを褒める度にさ……
笑いを我慢すんの大変だったんだから!

もう…勘弁してよ…頼むわ…
笑わせんといて〜!
って、腹抱えそうになったわ。

私、そんなに悲劇の女に見えるんやろうか?
まぁ、そないに見えたんやったら、女優やね。

もうな、我慢せんのよ。

自分にな…」


孝之の遺影を睨む沙耶子…