「沙耶子さん、気を落とさずにね」

「この度は…ご愁傷様です」

「本当にお気の毒に…
若すぎるわよね…
これからだっていうのに…」

「なんて言ったらいいか…
これからの事、出来るだけ力になるからね」

「孝之さん、
どうして…
沙耶子さんを置いていってしまったの?
孝之さん…
神様は酷ね。
孝之さんみたいないい人をお召になるなんて…」


喪服に身を包み、
夫の葬儀の参列者が私の前に来ると、
口々に涙を浮かべながら言葉を述べた。


こんな時なのに…
涙が出ないわ。


「くれぐれも気を落とさない様にね!
天国の孝之さんも沙耶子さんをずっと見守っているわ…
辛かったでしょうね…」


「はい、辛かったです…」

あ、やっと言葉が出た。


そうね…
辛かったわ…
凄く、辛かった。