『陽向のことは、気にすんなよ?』 耳元で囁くように言う彼方の声。 くすぐったい。 「わかってるよ、ばか。離せ!」 『うるせえ!すぐ離すわ!ブス!』 彼方って、やっぱ変わんない奴だ。 ~~ シャワーも浴び終えて、自分の部屋に戻ると 私の鏡の前で崩れ落ちるように座る。 「...変わりたい。」 赤いリップに手を伸ばす。 ...駄目。私なんかつけたらみんな驚いちゃう。 「...また、咲原くんに嫌われちゃう。」