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足が痛い。
「もう少しだから、我慢して!」
琴が叫んだ。
病院の廊下は冷たく、寒気がした。
前を向くと出入り口が見えた。
「ねえっ!し、らか、べ、さんっ!どういうつもりなのっ」
「黙って!!」
彼女の態度に手を振りはらった。
「さっきから何なの!?」
私が叫ぶと、琴が止まった。丁度病院の外だった。
「ごめんね…でも、おかしいと思わなかったの?」
「え?」
琴が少し眉を下げた。
「だって、廊下を走ってても誰も通らなかったじゃない」
確かに…と思った。
「でも、皆、受け付けにいたかもだし…」
「入り口なんかに人がいた?」
「………………」
私は眉間にしわを寄せた。
「あと、貴方の意識が回復したってニュースでやってたでしょ」
「うん…」
「貴方が回復…いや、目が覚めた時って周りに人がいた?」
【居なかった】
私は首を左右に振った。
「おかしいでしょ。普通、看護士くらいくるでしょ。3日間も寝てた子が目覚めたというのに」
琴は「それに…」と言葉を続けた。
「貴方のお兄ちゃんは何処の病院にいるのかしら」
「そりゃ…」
私は顔を上げて固まった。
「………ここ、桜山病院にいるとしか考えられない…だって…」
「私の家から一番近い病院だから」
震えが止まらない。小さい頃から通ってた病院なのに。
「わざわざ遠いところに行くなんて生存率が下がるだけよ……でもね」
「何?」
「アタラシイ病院の方にいるのよ。お兄ちゃんは」
「新しい?」
首を傾げた。
「ここから数メートル進んだところ」と琴が指をさした。
私は後ろ向く
「あれ……?」
私は辺りを見回す。
「ここって…何処?」
こんなところ……知らない……
「ふふ……気づいたのなら言うわね…」
琴が微笑む。
「廃病院にいたのよ。貴方」
♦︎END♦︎

