改めて注意をしながらテレビを見る。
しばらくすると速報が入った。
『一家殺人事件での被害者で新たに一命を取り留めた方がいます。
えっと…白雪 翔さん(16)だそうです。加害者に複数回殴られたものの
意識が回復したようで……』
【お兄ちゃん!!!】
嬉しくなり自然と口角が上がった。その時だった。
「姫ちゃん!」
ガラガラ……
可愛いく綺麗な高い声が部屋に響く。
私は急いで口角を下げ
「一橋さん……」
と言った。
ロングヘアーの黒い艶やかな髪、垂れ目といった癒し系の容姿。一橋 実愛(みお)だ。
我がクラスの学級委員であり、私の幼馴染だ。
「もう!そんな他人みたいな呼び方やめてよー」
「だって他人でしょ?」
「………そういう意味じゃないって」
実愛は吹き出した。何が面白いのだろう。
「でも、その天然さが可愛いっ❤︎」
私に抱きついてきた。
ふわりと揺れた髪から香水の甘ったるい香りがし、思わず顔をしかめた。
そして、やっぱりコイツは“嫌い”と思った。