愛寵メルへン

前を歩くオニキス。

オニキスは迷うことなく道なき道を進んでいく。
木々を掻き分け、後ろを歩く私に枝が当たらないように配慮してくれている。

意外と優しいんだな、と思いつつ黙ってついていく。

暫く歩くと鬱蒼とした木々は少なくなり、背丈の低い木々や花が目立ちだした。
辺りには動物たちの姿も見え始める。

「着いたぞ」

山小屋、というよりロッジに近い家に案内される。

中は綺麗、というか物が無い、生活感のない部屋。かろうじて食器や洗濯物があること住んでいた形跡がやっとわかる程度だ。

「まあ、適当に座って。」

どっかりと座ったオニキスのテーブルを挟んで対面に腰を掛ける。

「ねえオニキス、この世界のことをもっと詳しく教えてくれない?」

持っていた童話集をテーブルの上に起き、オニキスの瞳をじっと見つめる。

「…わかった。
これから話す事は全部事実だという事を知ってほしい。」

オニキスは静かに語り出した。