「葉月は、優しいんだな。俺の事慰めるために、好きって言ってくれてありがとう」 ─────は? 王子の言葉に、脳の流れが一瞬止まった気がした。 「……え?」 「葉月みたいな優しい奴も、女にだっているんだな」 そういって王子が柔らかく微笑む。 今度は、私がため息をつく番だった。 これは呆れからきたものなのか、安堵からきたものなのか…… 何はともあれ、今回ばかりは王子の鈍感さに感謝したのだった。