「あ、あのっ、じゃあ飼うっていうのは…?」


「君の事」


王子が答える。

えええっ。





あまりのありえない展開に頭がついていけない。


王子が、私を飼う?


でもそれって…つまり…そういうこと?


「あの、それって…」


藁にもすがるような目で王子を見る。

私の視線から逃れるように、王子が目をそらした。


そして───



「新しい仕事がみつかるまででいい。俺の家で家政婦として働く。家ないんなら、住み込みでもいい。どう?」




そういって首をかしげる王子。


その答えを聞いた瞬間、体中から力が抜けた気がした。


人生でこれだけ安心したことってない。


こんなにほっとしたことってない。