「ひ、ひどいです!やっぱり冷酷!」 「ひどいなぁ。今から君を飼ってやろうかと思ってたのに」 へっ? またマヌケな声が漏れた。 目の前にあるのは、優しく微笑むわけでも、意地悪そうにニヤニヤするでもない、 あくまでポーカーフェイスな王子の顔。 その王子が今何て言った? 「飼うって……犬かなにかを、ですか?」 「は?」 は?と眉をひそめた王子は、凍りつく程に怖かった。 そしてその怖さに少し懐かしさを覚える。 そう、みんな王子に恋してるのに、 怖くて近づけなかった。 でも…怖いのは、今も。