ドキドキするから手を離して。
なんて、そんな事を言えるはずもなく。
手をひかれたまま、黙って王子につれていかれる私。
あぁもう、なんで私って王子のペースにすぐはまっちゃうんだろう。
王子の本当の姿なんて、鈍感で天然で馬鹿で、なのに無愛想で…内面なんて全然王子じゃなくてかっこよくもないのに。
なんでそんな人に、ドキドキさせられなくちゃいけないんだろう。
そんな事を考えているうちに、気づけば厨房に連れていかれていた。
到着したと同時に王子からうでを離される。
「ここが厨房。オーダーをとったら、ここまでそれを伝えにきて」
「……はい」
はい、と答える声に心なしか安堵のため息のようなものも交じる。
手をはなされたと同時に、ものすごい解放感を感じたからだろうか。
一瞬王子が怪訝そうな顔をしたが、
まあそんなことには気づかないふりをした。
そんな私を横目にみつつ、王子は真顔で続ける。
ここは何々するところで、これはこういうやつ。
飲み物はここに常時おいてあるから、
お客様がいらして席につかれたら、オーダーとる前にまず飲み物をここで用意してお出しして。
とか、次から次に王子がいろんな事を説明してくれた。

