「まだ魔力が残っていたか…」
「…!」

 ばれた…!
 まだ準備ができていないが発射するなら今だ。
 もう、今しかない!

「待つんだ、ユウ・アカツキ」

 少年が俺の手を遮る。

「何をする!?」
「君はこんな結末嫌だろう?変えられたらって思っているだろう?」

 にっこりと少年は言う。
 だが、少年の言うことは本当なのだろうか?
 こんなことにならないようにやり直すことが…できるのだろうか?

「僕はすべてをやり直せることができる。でもね、僕一人じゃそれはできない。君の力が必要なんだ」
「本当に?本当にできるのか?」
「うん」
「だったら何でもする!お願いだ!やってくれ!」
「契約成立。じゃあね、シュヴァルツ。またあなたはこれを繰り返さなきゃならなくなったわけだけど…。そんなこと、僕には関係ないんでね。行こう、ユウ・アカツキ」
「ああ、よろしく頼む!」

 少年は俺の手を引っ張り、歪んだ空間に連れ込む。

「そうはさせるか!」

 シュヴァルツは俺たちに攻撃を仕掛ける。

「おっと」

 少年はそれを軽くあしらう。

「くっ…!」
「まったくあなたもしつこい人だ。僕は絶対この未来を変えなきゃいけないんでね。もうこんな結末は見たくないから」

 悲しそうな顔をする少年。
 
「さあ早く!俺を連れてってくれ!」
「はいはい、そう急かさないで。ではね、シュヴァルツ。もうあなたに会わないことを願うよ」
 
 バイバイと手を振る。
 そして、シュヴァルツを後にし、俺たちは空間のゆがみの中へ行く。