「なーに、落ち込んでるの?」

 こんな状況でのんきな声が聞こえる。
 落ち込んでるも何も仲間が全員死んだんだ。
 そんな風にもなる。

「…貴様!」

 男はその声を聴くと怒りを露わにする。

「また邪魔をしに来たのか…!この裏切り者が!」

 すると、いきなり空間が歪み、そこから一人の少年が現れる。

「裏切り者なんて心外だな、シュヴァルツ。あなたが先に僕を殺そうとしたんじゃないか」

 この二人、何か因縁があるのか?
 だけどそんなこと今の俺には関係ない。
 せめて、こいつに一撃与えられれば…!
 俺はシュヴァルツと呼ばれた男に魔術を放つ。
 戦いつかれて、今はこの程度の術しか出すことができない。
 こういうことになるんだったら鍛錬、サボるんじゃなかったな…。