アカツキの記憶 1

「ユウちゃん、遅かったわね」

 さっきまでワイワイと明るい雰囲気だったホールがさぁっと静まり返る。

「お、おはよう。母さん…」

 母さん、バニーさんだ。
 その顔は笑顔だ。
 いやにさわやかすぎるくらいの笑顔。
 だけど、後ろのオーラはその真逆。
 怒ってる。
 鬼のような恐ろしいオーラは俺をジーッと睨み付けている。

「おい、あれやばいぞ」

 ほかのギルドメンバーがひそひそと話している。
 母さんは普段はとても優しい。
 だけど、約束を破ったり、うそをついたり、そういうことに関するととても厳しい人でもある。
 彼女がまだ若いころ…って言っても母さんの年齢がいくつなのかギルドのメンバー全員がわかっていないことなんだけど…。
 昔、彼女が属していたギルドで裏切り者が出てそのギルドが解散してしまったという過去があるらしい。
 嘘は悲しみを招く。
 だから、彼女は嘘を憎んでいる。嫌っている。

「今、何時かしら?」
「午前十時です」
「ここに来るようにって言った時間は?」
「その一時間前です」
「あなたはどれだけ遅刻した?」
「…一時間です」