「おい、ロキ!?って夢か…。なんかやけにリアルな夢を見たな…」

 本当にあの夢、リアルすぎる。
 なんでかっていうと体の節々が妙に痛むし、覚えのない痣もいっぱい…。
 あれ?これは昨日の鍛錬での痣じゃないか。
 気にしすぎだな、単なる夢なのに。

「ユウ!」

 部屋の外から声が。

「ユウ、なんか叫んでたけど、どうしたの?」

 そして、俺の部屋の扉を当たり前のように開ける少女の声。
 サクラだ。

「叫んでたか?」
「うん、大きい声で『ロキ』って。知り合いの夢でも見てたの?」
「うーん…知らねえ」
「変なの。あっ…!」

 サクラは何かを思い出したかのように大きな声を出す。

「早く、ギルドホールへ向かったほうがいいわよ?母さんカンカンに怒ってた」
「マジで?」
「マジよ」

 いや、そんなどや顔で言われても。

「じゃあ、私は先に行くわね~」

 手を振り、部屋を出ていくサクラ。

「ぼ~っとしてる暇ねえ!早く仕度しねえと!」

 俺は猛スピードで着替える。
 今世紀最速かもしれないな。