でも、黒猫君は思いました。
白猫君は、最期にぼくに会いに来てくれたんだ…。
ぎゅっ、と胸の奥の何かが掴まれたような気がしました。
そして、すごく泣きたい気分になりました。
「ありがとう…小鳥さん」
黒猫君はにっこり笑うと、家を出ました。
向かうのは何時かの広場でした。黒猫君は広場で一番日の当たる場所で、横たわる白猫君を見つけました。
「白猫君…」
黒猫君は、何かを決心したようでした。
白猫君の首のあたりをくわえると、ずるずると引きずっていきます。
「何時か…ボクが死んだらあそこに埋めて…」
白猫君がそう言っていたことを思い出したからです。
黒猫君は、ぐっぐっ、と引きずっていきます。
「ついた…!」
そこは、この暗い森で唯一きれいな、まるで白猫君のあの目のような蒼い、蒼い空が見える場所でした。
黒猫君は必死に穴を掘ると、白猫君をそのなかにそっといれました。
黒猫君はざっ、ざっと白猫君に土をかけ、一輪の花を置きます。
黒猫君は言いました。
「これで泣くのは終わりにするから…泣いて、いいよね?」
苦しくなって、黒猫君はぽろぽろと涙を零しますが、嗚咽を漏らしはしません。
白猫君、ありがとう。
きみのお陰でぼくは強くなったような気がするよ。
ありがとう。