何日も、何日も泣いて、泣き疲れ、涙が乾ききった頃。
黒猫君の家の呼び鈴が鳴りました。
りんりんりん。
疲れた黒猫君は、無視しようとしました。
けれど、りんりんりん、としつこく呼び鈴は鳴り続けます。
ホントは、この涙で赤く腫れた目を見られるのは嫌でしたが、行くことにしました。
「どちら様ですか?」
ドア越しに黒猫君は言いました。「あぁ、やっぱりここはキミの家だった」
そのひどく優しい声に黒猫君はびっくりしました。
それと同時に、枯れたと思っていた涙が溢れてきました。
「白猫君っ…」
ばん!
大きな音を立てて黒猫君は扉を開けました。
「やぁ!元気だった?」
優しげな笑みを浮かべた白猫君がそこにはいました。
黒猫君は安心から、また泣いてしまいました。
ああ泣かないで、と白猫君は黒猫君の涙を拭います。
その時です。
「黒猫君…ありがとう。…大好きだよ」
耳元で囁かれたと思ったら、ふあり、と白猫君は光になってしまいました。
黒猫君は、目を見開いてすぐに外にでました。
けれど、そこには誰もいません。「白猫君っ…!?白猫君…!?」黒猫君は叫びました。
すると、陰から何時も黒猫君を見ていた一羽の小鳥が言いました。「黒猫君、黒猫君、…白猫君は死んでしまったんだ」
え?、と黒猫君は言いました。
そして、闇色の目から大粒の涙が零れました。