あるところに、闇色の目をした黒猫君と蒼い目をした白猫君がいました。
「みんな、ぼくの目が闇色だからぼくの事を嫌うんだ」
黒猫君は寂しそうに白猫君に言いました。
実は黒猫君は美しすぎるから、誰も話しかけられないだけで嫌われてなどいないと知っている白猫君は、黒猫君に微笑んで言いました。
「キミは嫌われてなどいないさ…。嫌われているのはボクの方だ」白猫君は言いました。
なんで?と、かわいい顔で黒猫君は言います。
続けて、そんなにきれいな空色をしているのに…とも。
しかし、白猫君は言いました。
「蒼い目は…ここでは`悪`の証なんだって言うんだ。この暗い森にはない、どこかにあるきれいな空を想像して森から若者達がでていくことを大人達はおそれているから…」
不意に黒猫君の頬が濡れました。涙でした。
「ひどすぎるよ…白猫君の蒼はとてもきれいなのに」
優しい黒猫君は涙をこぼしました。
「ボクの為に泣いてくれてありがとう」
白猫君は言いました。
言いながら、白猫君も泣いていました。
木の葉がザワザワ揺れ動きます。そうしてその一日は過ぎてゆきました。