闇の鬼~影を纏いし者~

飛ばすって? 何処へ?
考えている余地はないな。
このままじゃ駄目だ。


歪みは激しくなる一方だった。
夏子も立っている事が出来ず、座り込んでいる。


咲夜は、浩介から目を離さない。
飛ばされるタイミングを測っているのか?
浩介は、動きを封じられたのか、身動き一つしない。


「移動するわね。・・・私が行くから、後は頼むわね。」


振り向き、僕に微笑みを残し走り出した。


「咲夜!! 」


浮いている浩介の後ろに、黒い穴が開いた。
吸い込まれる浩介。
その浩介の手を取り、咲夜が一緒に吸い込まれた。


「浩介ぇ!! 咲夜さん!! 」


夏子の叫びも虚しく、穴は二人を飲み込んで閉じてしまった。
咲夜を信じ、無事を祈るしかない。


穴が閉じると歪みは治まった。
これも『オニ』の力か。


「夏子。大丈夫か? 咲夜を信じよう。必ず戻ってくるよ。」


僕は、夏子の元に駆け寄り、言葉をかけた。


「・・・そうですよね! 大丈夫ですよね! 咲夜さんが一緒だもん! 信じます!! 」


顔を上げ、不安を抑え立ち上がる。
強い子だ。
残された僕達がすべき事。
『オニ』の封印だ。


「先輩! 私も戦います! 守られて、逃げてばかりじゃダメなんです! 美冬を取り返すために、私も頑張らないと! 」


この状況で、この言葉。
僕にも、力をくれる。


『あと二人・・・』


再び『オニ』の周りに闇が現れる。
夏子を置いて、飛び込むわけにはいかない。