闇の鬼~影を纏いし者~

「咲夜! 無茶だ! クソっ! 」


襲い来る刃を防ぎきれない。
さっきの要領で落とせるか?
考えている時間はない。


僕は刀に意識を集中した。


刀身の光が強くなる。


「これでどうだ!! 」


全身の力を込め、刀を振り抜いた。


いくつもの光の刃が影を落とす。
空間に穴が空いたような錯覚に陥る。
光の筋は広がり、一瞬で闇を消し去った。


『グォォ・・・』


闇に包まれ、赤い瞳しか見えなかった『オニ』の本体が現れた。
刀の力のせいか、『オニ』の動きが鈍くなった。


「ハァ・・・ハァ・・・みんな大丈夫か? ・・・浩介? 夏子? 咲夜? 」


さすがに息が上がる。
限界が近い。
刀を振るたびに、少しづつ体力を消耗するみたいだ。
力を、僕の中にある力を使っているのか。


「私は大丈夫よ。」


「私も大丈夫です! でも、浩介が!!」


大丈夫、と言っているが、咲夜も夏子も傷だらけだ。
浩介は・・・


「まだまだいけます・・・夏子、心配すんなよ。こんなの、どうってことない。」


フラフラになりながらも立ち上がる浩介。
腕の傷が深いな。
急所は外れている。さすが喧嘩慣れしてるだけある。
だが、長くは持たないだろう。



「ここにいろ。咲夜、君もだ。後は僕がやる。」


今がチャンスだ。
僕は『オニ』に向かい刀を振り上げる。


『邪魔だ・・・』


「?! なんだ? 」


『オニ』の周りの空間が歪んだ。
足元がふらつく。
何が起きた?
歪みが強すぎて、立っていられない。


「うぉ! なんだ? クソっ! 」


後ろから浩介の声。
何が起きたんだ?
歪みの中、僕は態勢を崩さないように振り向いた。


「浩介ぇ! 何? どうなってるの? 」


振り向くと、浩介が宙に浮いている。
夏子がしがみついているが、高さが増す。


「夏子、離れて。貴方まで飛ばされてしまうわ! 」


咲夜が、夏子を止める。


「でも! 浩介が!! 」


「空間を歪めて飛ばす気ね。私達をバラバラにする気だわ。」