闇の鬼~影を纏いし者~

長引くのは不利だ。
『オニ』は美冬の力を使っている以上、際限なく影を出してくるだろう。
だが、こっちは体力にも、限界がある。


「美冬!!! 」


夏子は呼び続けてくれている。
少しでもいい。反応してくれないか?
心に焦りが生まれる。


「駄目よ。焦ったら。判断が鈍るわ。」


僕の隣に立ち、咲夜が囁いた。


「そうだな。


・・・君が隣にいるなんて。不思議だな。」


「そうね。私もよ。」


咲夜が、僕の隣で微笑んでいる。
想定外の出来事だ。


「美冬が目覚めるまでは、影との戦いだな。」


「夏子の声、届いてほしいわ。それまでは、防戦よ。無理しないでね。」


「わかってるよ。君こそ、すでに無理しているんだ。僕が前に出る。少し休むといい。」


咲夜を後ろに下げ、僕は影に切り込んだ。


振り下ろす刀身から光が放たれる。
切り裂かれる影。
その繰り返しが続く。


『まだ・・・抗うか・・・』


『オニ』の瞳が強く光る。
その瞬間。


『オニ』から伸びていた影が丸い塊になり、次々と飛んできた。


「くっ!! これはヤバイな。」


伸びる影なら、避けて切れるが、飛んでくるものはその場で落とさなければならない。


「浩介!! 」


夏子の叫び。


「夏子、下がって。浩介君を! 」


咲夜が援護したか?


浩介に何かあったな。当たったか。
咲夜が援護に行ったようだが、無事なのか?
黒い玉を捌くだけで精一杯だ。
なんとか三人の元へ行きたいんだが。


「美冬! 目を覚ましてくれ! 」


目の前に来る黒い玉に集中しすぎた。
その隙に、静かに忍び寄る影に僕は気づかなかった。


「しまった!


・・・・・・うっ!! 」


影に足元を掴まれ、身動きが取れなくなった。
影は、僕の下半身を押さえ込んだ。
その瞬間を逃すこと無く、黒い玉が僕に襲いかかる。


「ぐっ・・・まずいな。なんとか足元の影を切らないと。」


腕は動く。これ以上当たるのはまずい。
一か八か振り抜くか。
横一線切れればいい。
ほんの少し前が開けば足元に集中できる。