駅のロータリーに入ると、すぐに浩介を見つけることができた。


「浩介ぇ! 」


窓を開けて、夏子が叫んでいる。


「おいおい。叫ぶ必要はないだろう。」


僕は、夏子を窘めた。


「えー! 呼ばないと浩介って気が付かないんですよ? ほら! まだボーッとしてる!」


僕は、浩介の目の前に車を停めた。


「おはよう。浩介。眠そうだけど大丈夫かい? 」


いまにも寝てしまいそうな雰囲気だ。


「あっ・・・・・・。おはようッス・・・・・・。すんません。大丈夫ッス。」


言いながら後部座席に腰を下ろした。


「おはよう! 浩介! 」


「・・・夏子。お前さぁ、メールの途中で寝ただろ。オレ、返信来ると思って待ってたんだぜ? 」


「えっ?! まじ? ごめん! 」


ふう・・・とため息をついて呆れ顔の浩介。
夏子に無理やり起こされてたんだな。
今日一番の被害者だな。


「あらあら。夏子、メールの途中で寝ちゃったの? 浩介君も災難ね。」


「いや、大丈夫ッス。」


「んー・・・・・・。気付いたら朝だったんだよねぇ。・・・浩介! ごめんね! 」


「もういいよ。ってか、オレ寝ていいっすか? 」


そう言って、浩介は寝始めた。


「夏子。少しは静かにしてやれよ。」


「わかりました。・・・ところで、『オニ』ってなんですか? あんまり詳しく聞いてなくてモヤモヤしてたんですよね。」