闇の鬼~影を纏いし者~

『オニ』の動きがとまった。
影が、『オニ』に集まっている。


「先輩! 大丈夫っスか? 何があったんっスか? 突然、全部止まって訳わかんないっスけど。」


浩介が、異変を察知して東側から顔を出した。
全身傷だらけだ。
後ろに、夏子もいる。


「傷だらけだな。遅くなってすまない。
僕にも、何が起きているのか分からないんだ。咲夜の声が聞こえた。その後、動きが止まった。」


「私達にも、聞こえました。美冬、大丈夫かな? 」


咲夜を包んでいた闇が、美冬まで飲み込もうとしている。
どういう事だ? 『オニ』が二体に増えるのか? それは、やめて欲しいな。


「これじゃ、どっちを封印していいかわからないですよ! 咲夜さん? 美冬? 」


夏子の言う通りだ。
『オニ』がどちらなのか分からない以上、手の打ちようがない。


「みんな、下がって!! 抑えきれないわ!! 」


咲夜の、声に全員が反応した。
浩介と夏子は、東側へ。
僕は、玄武と白虎の間の通路へ。


その時。



「咲夜!! 」


僕達が離れた瞬間、『オニ』の中から咲夜が弾き出された。
壁にぶつかる前に、僕は受け止めた。


「大丈夫か? 何が起きた? 怪我は? 」


「大丈夫よ。美冬の力に気付いたみたいなの。空間を捻じ曲げて、美冬を連れてきたのね。朱雀の区画は、朱桜の力と繋がっているわ。少し、抵抗し過ぎたかしら? 嫌われたみたいね。」


美冬は動かない。無抵抗な状態って事は、『オニ』になるのが早いって事だな。


「君は? 戦える? 封印は僕がする。浩介と夏子を守ってくれないか? 」


「あなた一人じゃ無理よ。美冬は、心を閉じ込められているの。無抵抗なままで『オニ』になったら、限界まで力を出されるわ。」


闇が影になり、その影が美冬を包む。
咲夜の時より、スピードが、早い。
もしかして、封印するなら今のうちにか?