闇の鬼~影を纏いし者~

「咲夜!! 」


叫んでみたが、反応はない。
取り込まれたか。


気がつくと、影の動きが止まっている。
何故だ?
まだ、咲夜の意識が勝っているのか?
考える余裕はないな。
広間の中央。『オニ』の隣だ。


「少し動いてくれないか? 」


動きを見せない『オニ』
僕は、躊躇わず切り込んだ。


ブワッ! と言う音と共に『オニ』が消えた。


「なんだ? 手応えがない。移動したのか? 」


刀が『オニ』に当たった感じはなかった。
切る前に、姿を消した。


「先輩!! 何があったんですか? みんな消えちゃいましたけど、もしかして、封印出来ちゃったとか? 」


東側から、夏子と浩介が出てきた。


「いや、僕は切っていない。切る前に消えたんだ。浩介、気をつけろ。どこから来るかわからないぞ。」


神経を集中して、辺りの気配を探る。


「気配を殺してるな。今のうちに書いてあった事を試してみるぞ。」


僕は、広間の中央に立った。
ここで、捧げる。
何をだ? 我を捧げよ。そう書いてあった。


「僕の血か? 捧げるものがわからなかったな。」


中央に立ち、刀を見つめると。


刀身が光り始めた。


「何か起こるのか? 」


光りは強くなっていく。
刀に宿る力が、僕に流れてくる。


「なるほど、こういう事か。」


封印する為の力を、刀に閉じ込めてあったんだな。
この広間、ちゃんとした工程で作られていたんだ。
東西南北、意味があったんだ。
さすが、巫女だな。呪術的なもので、その時に備えていたのか。


刀の光りは強さを増す。
もう少しだ。
あと少しで、刀の封印が解ける。
その時。


「先輩!! 来ます!! 夏子、逃げろ! 」


静寂を破る浩介の声。


もう少しだ。
まだ完全じゃない。


「っざけんな!! 」


声が僕の隣を通り過ぎた。
浩介が、鞘を振り回しながら、影を追い払っている。


「先輩!! あれ! 朱雀の扉が! 」


夏子の声だ。
朱雀の扉? 何が起こった?


僕は、朱雀の扉に目を向けた。
広間に近い扉が開きかけている。
なんだ? 何か出てくるのか?