闇の鬼~影を纏いし者~

僕は、覚悟を決め、扉に手をかけた。


その時。


ドォーーン!! という、ものすごい音と共に扉に衝撃が来た。


「なんだ?! 」


「キャーー!! なになに?? 」


驚きと共に、僕は後ろに飛び退いた。


「マジでヤバイ。すげえ衝撃。素手で勝てますかね? 夏子、後ろにいろ。ぜってえ守るから俺の前には出るなよ! 」


浩介が臨戦態勢に入った。


ドォーーン!!!!


再び扉が揺れる。
広間から尻尾が扉を破ろうとしている。
この衝撃は凄いな。
体がビリビリと振動を感じている。


「来るぞ! 浩介、夏子を頼む! 」


二人を守る為には、僕が囮になるしかない。
そもそも、咲夜と二人で終わらせる予定だ。
僕が、広間に入り、東側の扉を閉めてしまえば被害は行かないだろう。


「開けるぞ! 浩介、下がっていろ! 」


僕は、合図と共に扉を開けた。


「先輩!! 」


「嘘でしょ?! 」


二人の声が危険を伝えている。
目の前に尻尾が迫っていた。


「切れてくれ! 」


願いを込めて刀を振り下ろした。


ブワッ!! と言う音と共に、目の前の尻尾が消えた。


「切れるぞ! ここは閉める! 出てくるなよ! 」


広間に出て、東側の扉を閉めた。


目の前には、黒い無数の尻尾が蠢いていた。
ここから本体が見えない。


「数が多いな。やれやれ、反対側に辿り着けるのか? 」


僕は、一呼吸置いて、円周を走り始めた。
真ん中を突っ切るより尻尾の動きが単純になるだろうと考えての行動だ。
後ろか、前か、どちらかしか攻撃は来ないはずだ。


「この数じゃ、咲夜本体に辿り着く前に、限界がきそうだな。」


やはり、尻尾は前後からしか攻撃してこなかった。


「問題はそこか。前と右。集中しろ。」


僕は、自分に言い聞かせるように走った。
白虎と玄武の境。
九栗からの通路がある。
右からの攻撃は絶対だろう。