闇の鬼~影を纏いし者~

「どうだい? 何か変化はありそうか? 」


僕は、何も感じ取れないままいる。
どのタイミングで咲夜が『オニ』になるのかもわからない。

咲夜に聞くしか方法がなかった。


「そうね。今のところないわね。
・・・でも、朱雀の靄が広がっているわ。この前来た時より、嫌な感じが大きいわね。」


朱雀の区画か。
前回同様、嫌な靄が、かかっているようだ。


「何故なんだろうな? やはり、朱桜に関係があるのか? 僕にはさっぱりだけどな。」


「そうね。胸騒ぎはしてるの。ここに来てから。途中で、何か状況が変わるかも知れないから。気をつけて。」


咲夜は、何か感じ取っているようだ。
胸騒ぎか。
的中率の高い咲夜の言葉だ。
臨機応変で対応出来るようにしなければな。


「夏子達、大丈夫かしら? 張り切りすぎて心配だわ。」


「大丈夫だろ。浩介もいるんだ、信じて待とう。」


「そうね。ここから先、私が『オニ』になっても躊躇しないでね。封印の方法が刀に彫ってある事はわかっているけど、解読が必要なら逃げながらになるわ。たぶん、無条件で襲いかかるはずよ。その時は、何も考えずに戦って。私より、夏子と浩介を優先してね。」


咲夜の言葉には、強さがある。
僕は答えるしかない。
守るために。


「わかってるよ。その為にここにいるんだ。終わらせる。僕達の手で。」


誓ったんだ。
あの日、咲夜と。
必ず終わらせる。


その時。


「離れて! 来るわ! 」


咲夜の声に反応して、僕は少しだけ後ろに下がった。


今回は、ハッキリ見える。
朱雀の区画から、黒い靄が咲夜に向かっていた。

思ったより早い展開だ。
やはりシュミレーションなんて役に立たないな。