翌朝、僕達は、食堂で朝食を済ませた。


緊張と不安で、寝たのか寝ていないのか、よくわからない。


夏子と浩介は・・・・・・。


「朝から食べ過ぎ! 動けるかな? 浩介って、食べてもすぐ動ける? 」


「当たり前だろ。毎日、いつ、何があってもいいようにしてるんだよ。」


元気だ。
二人とも。
次郎さんにも、言われたが、夏子の明るさには助けられる。
不安に思うことが馬鹿馬鹿しくなってくる。


「気をつけていってらっしゃい。咲夜、私は、ここで待っていますからね。みんなで帰ってらっしゃい。」


千影さんが、玄関まで見送ってくれている。
その言葉にも、信じる気持ちが込められている。


「行ってきます。オバァ様。

・・・・・・・・・。」


「行ってきますね! 大丈夫ですよ! 咲夜さん! ちゃちゃっと終わらせて帰ってきましょう! 」


「夏子、お前被ってる! 咲夜さんが話してるのに被せんなよ! 」


浩介にしては、珍しい。
夏子が、被った事に怒るなんて。
何か、一言一言を大事にしている感じがある。
こっちの浩介が、本来の浩介なのかもしれないな。


「いいのよ、浩介君。ありがとう。オバァ様、改めて、行ってきます。」


咲夜の言いたかった事。
僕達二人が戻らなかったら、夏子と浩介を頼むと伝えたかったんだろう。
四人で帰ってこれないかもしれない。
千影さんも、わかって言っているんだろうな。
僕は、皆で帰ると、咲夜と誓った。


それぞれが、それぞれの思いを胸に、九栗の家に向かった。