「着いたぞ。」


前回同様に、車は中庭に止めた。


「なんすかここ? デカすぎね? 」


車を降りての浩介の第一声。


「浩介は初めてだもんね! 私も、最初同じ事思った! ウケる! 」


笑いながら、夏子にからかわれている。


「さあ、行きましょう。」


心做しか咲夜が緊張している。
やはり、時が近いからか。
それとも、時が近いからか何か感じ取っているのか?


「オバァ様、咲夜です。暫くの間、またお世話になります。」


はじめに来た時と同じように、咲夜は、玄関を開け声をかけた。


「いらっしゃい。ちゃんと四人で来たわね? 二階にあがって荷物を置いてらっしゃい。書斎ではなく、食堂にくるといいわ。」


千影さんからも、緊張感を感じた。


僕らは二階に上がり、部屋に荷物を置いて食堂に向かった。


「浩介! こっちだよ! あっ! お風呂はあっちね! 」


夏子が、勝手知ったる様子で浩介に説明している。


「入りまーす! やっぱりいい匂! 今回、これだけが楽しみだったんですよね! 家に帰っても忘れられなくて! 」


夏子が夕食を目の前にはしゃいでいる。


「こんばんは、浩介です。お世話になります。」


浩介は、違った意味で緊張しているようだ。
まあ、咲夜のオバァ様だからな。仕方ない。


「固くならなくていいのよ。初めまして。咲夜の祖母の千影です。沢山食べそうね。遠慮はいらないわ。」


言われても遠慮するだろう。
どちらかというと、千影さんは、先生のような雰囲気だ。
浩介は苦手かもしれないな。