闇の鬼~影を纏いし者~

僕達が、風呂から上がる頃、千影さんが帰っていたようだ。
食堂に入ると、席に座って待っていてくれた。


「お疲れ様。今日はどうだったの? 」


僕達が、席につく前に聞いてきた。


「もう! 聞いてくださいよ! 先輩酷いんですよ! 体力作りを一緒にしたんですけど、私付いていくのが精一杯で、明日は絶対筋肉痛ですよ! 」


夏子が、今日の報告を始めた。
やれやれ、暫く言われそうだな。


「あら、そんなに走ったりしたの? 明日はお勉強をするんでしょ? 大丈夫よ、若いから。すぐ治るわ。」


千影さんも、夏子の反応が楽しいらしい。
笑いを堪えているようにも見える。


「ここに居る残りの間は、自由になさい。その時が来るまでは、出来る事は限られているわ。今を大切にしなさい。」


今か。
後二ヶ月したら状況は変わっているのかもしれないな。
千影さんの言葉が重く感じる。


この日から二週間、僕達は、日々同じ事を繰り返していた。