闇の鬼~影を纏いし者~

「先輩! 無理です!! なんで、そんなに走れるんですか?! ありえないですよ!! 体力作りとかって必要ないレベルですよ!! 」


夏子が、僕の後ろから叫んでいる。
そんなに走ったか?
休み休みとは言え、二時間弱だぞ?


「今日は帰るか? いきなりじゃ夏子にはキツかったな。」


僕は、立ち止まり夏子を待った。
それでも、付いてきている方だ。
夏子の体力も馬鹿にはできないな。


途中から、ゆっくり歩きながら帰路についた。
疲れたと言いながら、夏子は文句を言い歩いている。
それだけ元気なら大丈夫だろう。


「ただいまです!! もう!! 限界!!」


帰るなり、限界発言だ。
明日は勉強会の予定だが、明後日はまた走るんだぞ?
違った意味で不安がいっぱいだな。


「あら、おかえりなさい。思ったより早かったのね。夏子? 大丈夫そうじゃない? 限界って言ってたけど。」


咲夜も、夏子の元気のよさに、限界発言を疑ったようだ。


「大丈夫じゃないですよ! 先輩に付いてくなんて無謀ですよ! 絶対筋肉痛になる!! 」


「あら、それは困るわね、お風呂で、ゆっくりほぐさないと駄目ね。」


クスクス笑いながら、咲夜が言っている。


「私、お風呂入ってきますね! 」


夏子は、言うより早く二階に上がっていった。


「階段を、これだけ上がれるなら問題はないと思うけどな。」


僕は、呟いた。


「あなたに付いて行くだけ立派だわ。普通なら途中で帰ってきてるんじゃない? 」


「そうか? もう少し、考えて走らないと駄目だな。体力がつく前に夏子に嫌われそうだ。とりあえず、僕も風呂だな。これで食堂に行くわけにはいかないな。」


咲夜と二人で階段を上がり、夏子と合流して、風呂に向かった。