闇の鬼~影を纏いし者~

咲夜の能力を持った『オニ』か。
手強いな。


「それと、九栗の地下にあった朱雀の区画だけど、朱桜が関係しているようなの。だから嫌な感じがしたんだと思うわ。封印に関係するのか、それとも別の何かがあるのか。」


黒い靄が掛かっていると言っていたな。
その時が来ても、あの場所にはあまり近づかない方がいいだろう。


「先輩! 悩んで考えても駄目ですよ! 今は、体力付けましょう!! その時にならないとわからないなら、その時まで待てばいいんですよ! 浩介だっているだろうし、大丈夫ですよ! 」


夏子は前向きだな。
次郎さんも言っていた。夏子の明るさが救いになると。
本当にその通りだ。


「走りに行くんでしょう? 私は、和室に戻るわね。この家で、一番静かで集中できる部屋なの。」


巫女の能力を高めるための精神統一か。


「咲夜さん! 一人じゃないですよ! 私達も居るんですから明るく行きましょう!! 」


「そうね。ふふふ。ありがとう夏子。」


咲夜の表情から翳りが消えた。
夏子はすごいな。
僕には出来ないことだ。


「よし。行こうか夏子。咲夜、夕方には戻るよ。」


僕は、二人に声を掛け、走り出した。