隣町から戻り、僕らは駅からの道を歩きながら帰路についた。


途中、ブーブーっと携帯が振動した。


「ん? メールだな。」


僕は携帯のメールを開いた。


「夏子からだ。やっぱり許可が出たみたいだな。何て言って説得したんだ? 」


メールには、「許可もらいました! 8時前に準備終わらせて待ってます! 」とだけ書いてあった。


「ふふふ。2人だけで行けなくなっちゃったわね。」


クスクスと笑いながら、それでも咲夜は、夏子が来る事を止めないらしい。


「あんまり楽しむなよ。間違いなく危険が伴うんだぞ? それも、命のだ。」


「わかっているわ。でも・・・あの子、何を言っても来ると思うの。だから、私達で守りましょう。」


咲夜の勘は外れない。どんな事があっても夏子は付いて来る、ということか。


それにも、何か意味があるんだろうな。
何人かいた。そのうちの1人が夏子なのか?


「そうだな。守るために僕らは動いている。・・・明日は、8時に夏子の家でいいな。持ち物は? 必要なものはあるかい? 」


僕らは、準備に必要な物を相談しながら歩いていた。


そんな時、後ろから声をかけられた。


「先輩じゃないっスか? 何やってんスか?」


振り向くと、浩介だった。


「ん? 浩介こそどうした? 珍しいな、1人で出歩くなんて。」


「いや、今帰るとこなんスよ。」


言いながら、浩介は僕らと並び、歩き始めた。


「浩介、夏子から何か聞いたか? お前、夏子に喋っただろ。テンション高く図書館に来たぞ。」


「あっ・・・・・・。すんません。胸ぐら掴まれて聞かれたんで・・・。喋っちゃいました。」


浩介は小さくなって謝っている。


「いいわよ。仕方ないわ。この当たりではコワモテの浩介君でも、夏子に聞かれたら、言わない訳にはいかないものね。」


浩介は地元でも1、2を争う不良グループの頭にいる。
背も高く、顔も悪くない。が、硬派を貫くタイプの奴だ。
咲夜は、その浩介を相手に、夏子に胸ぐら捕まれて、自分から話したわけじゃないと凹んでいる浩介を見るのが楽しいらしい。


「ほんと、すんませんッス・・・・・・。」


「まあ、仕方ないさ。夏子が相手じゃな。」


浩介が、どれだけ夏子を好きなのかよくわかる。
そんな話をしていると、賑やかな着メロが響いた。


「ん? 」


ポケットから携帯を出して首をかしげた浩介。


「はぁ?! 明日? なんだこりゃ? マジかよ。」


携帯に向かって忙しい奴だな。
浩介が焦る内容のようだが・・・・・・。


「先輩、どっか行くんすか? 夏子が、明日参加ね! って。なんスかこれ? 」


道連れだな。
夏子が、浩介の予定を聞くことは・・・・・・ないんだろうな。