「鏑木の家はわかるね? 裏に回ると山へ入る道があるから登りなさい。山の手入れはあまりしてないから、これを持っていくといい。」


次郎さんは、話しながら、隣の部屋から鎌を出してきた。


「この時期だからね。草が邪魔するかもしれない。祠は山の真ん中辺りにあるから。祠を確認したら、中に入り、社を開けるんだ。
必ず夏子ちゃんが開けるんだよ。刀を確認したら、今はそのまま置いてくればいい。時がきたらもう1度取りに行く事になる。それが済んだら、ここに戻ってくるといい。」


僕達は、鎌とライターを受け取り鏑木家に向かう事にした。


「色々とありがとうございました。」


「行ってきます! 」


僕達は、一旦次郎さんとわかれ、鏑木の裏山を目指した。


「なんかびっくりですね! 四人とも役割があるって! 運命ですね! 」


夏子は、繋がりがあることに興奮しているようだ。


「そうね。本当は、巻き込みたくなかったのよ。抗えないわね。導かれて出会ってしまったのなら。」


咲夜も僕も、同じ事を考えていた。


鏑木の家は、次郎さんの家からそれほど離れていなかった。


「あれじゃないですか? 少し壊れてるって言ってましたよね? うーん・・・。少しですかね? 」


夏子が見つけた家は、人が生活は出来ないであろうレベルの建物だった。
それでも、修繕の跡がある。
次郎さん一人では、管理するにも限界があるんだろう。
家の裏に小高い山がある。
この山に祠があるのか。


「裏にまわろう。山へ入る入口を探さないとな。」


僕達は、家の正面からぐるりと裏へ回った。


「すごいな。ここから入れるのか? 」


入口はわかり易かった。
だが、次郎さんの懸念は当たった。
草木が元気に育つ季節だ。
入口から入ると、すぐに鬱蒼と草が生い茂っていた。


「この鎌で行けるのか? 咲夜も、夏子も、僕の後ろから来るように。何か見つけたら教えてくれ。」


僕は、二人に声をかけ、鎌を振りながら道だったであろう場所を奥に進んだ。


「すごいですね! 気温が違う! ちょっと涼しい! 先輩! 頑張ってくださいね! 」