「パンもご飯も用意してあるから、好きな方を召し上がって。」


千影さんは、和食のようだ。
すでにテーブルに用意されていた。


「私、どっちも好きなんですよね! 朝から両方じゃ多いですかね? 」


夏子は、パンもご飯も食べたいらしい。


「朝からそんなに食べるのか? 僕は、パンでいいかな。」


バイキング形式にしてくれていたので、各々好きな物を選んで席についた。


食事の間は、学校生活や、趣味の話で盛り上がった。


「これから知る事を、一つ一つ考えながら行動しなさい。私は、『オニ』にならなかったから、なってしまったあとの事はわからないわ。それまでに、出来るだけ情報を集めるのが大切よ。」


食事の後に、千影さんから言われたが、どれだけ情報を集められるんだろうか。


その後僕達は、風車のある家に向かうことにした。


「すごいですねぇ、右も左も畑と山! 風車があるって素敵だなぁって思うんですけど、ここまで何にもないとめげるかも。」


歩きながら、夏子がボヤいている。


「そうね。過ごし方は色々だけど、ほとんどの人が、駅の近くや、都市化している場所に仕事に行ってるわね。」


目を凝らしても、人影が見えない。
若い人がいないと言っていたが、ここまでとは。
目的が違えば、長閑な散歩道を歩いている感覚だろうな。


「家が少ないな。風車があるんだろ? すぐわかりそうだけどな。」


僕は、歩きながら風車を探してみたが、なかなか見つからない。


「そうですね。風車って大きいイメージがあるんですけど、もしかして、小さいんですかね? 」


僕も、夏子と同意見だ。
すぐに見つかると思っていたが、最初から難関だな。


「あら? あれじゃない? 」


咲夜が何か見つけたようだ。


「あっ!! あれって風車ですよね!! 横からじゃわかんないよ!! 」


咲夜が見つけたのは、間違いなく風車だろう。
だが、家に対して横向きだ。
正面のイメージしかなかったから、余計に気づかなかったんだな。


「盲点だな。横向きとは。他になさそうだ、行ってみよう。」


僕達は、風車のある家に向かった。