「ずいぶん詳しく書いてあったな。まさか、自分を犠牲にして封印しようとするなんて。だけど、それが失敗して、『オニ』になったのか。」


「一筋縄じゃいかないわね。巫女の能力を手にいれているのだから。私達は、それ以上の力がないと封印できないわ。」


咲夜の言う通りだ。
巫女の能力を持った『オニ』。
しかも何百年と戦いを続けてきてるんだ。
僕達で封印出来るのか?
不安だけが胸に残る。


「さっきのオバァ様の話からすると、私にも、どこかの血が受け継がれているってことですよね? どこなんだろう? 」


夏子は、登場した血族の名前に聞き覚えがないようだ。
僕も同じだ。


「そうね。私はオバァ様が朱桜である以上、巫女の血族なのは確かよ。

あなたは、封印する側ね。棟隆。始めて聞いたけど、たぶん、その血を受け継いでいるはずよ。

夏子は、鏑木か、九栗になるのかしら? もしかして、浩介君と、どちらかの血を受け継いでいるんじゃない? 」


棟隆。
聞き覚えがないな。
母の旧姓も違ったはずだ。珍しい苗字だから1度聞いたら忘れないだろう。


「うーん・・・。でも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、そんな苗字じゃなかったんですよねぇ・・・。」


夏子も、記憶を掘り起こしていたようだ。


「どこかで、養子や、改名、結婚をしたのかもしれないわね。女性は苗字が変わりやすいから。」


咲夜の見解は間違いないだろう。
苗字が変わっても、血を残せば問題は無いのだから。


「これからどうするんですか? 何か修行とかするんですかね? 」


少し不安気な夏子が聞いてきた。


「明日、千影さんに聞いてみよう。記録を読んだ事も報告しないとな。」


「そうね。もう時間も遅いから、今日は休みましょうか。」


時計を見ると、深夜を回っていた。


僕達は、明日の朝、8時に食堂に集合と約束し、部屋に戻った。