「一応、私と咲夜さんで、今日わかった事を書いてみました。」


ノートには、サトさんに聞いた話、本の最初にあった記録の内容を年表のような形式で書かれていた。


「なるほど。これならわかり易いな。過去からそれぞれの話を纏めてあるのか。」


まあ、サトさんの話から、千影さんの記録に書かれていた順だな。
ただ、千影さんが、どこまで調べたのかが問題だ。


「よし! 続きを始めるか。」


僕は、気持ちを切り替えるように声を出した。


~『オニ』についてわかったこと~


あれから私は、『オニ』の事を調べはじめた。

お爺様に聞くのが、一番早いと思って会いに行ってきた。

お爺様の話だと、

最初は『オニ』ではなかったと。
闇が襲ってきたある年の巫女が、自らを生贄に闇を吸収し、封印を試みたと。
だが、封印に失敗し、巫女の体に吸収された闇は、巫女の能力を奪い『オニ』となった。
そこから、巫女と『オニ』の戦いになったと。


暫く後、巫女の能力を受け継ぐ男子が生まれたが、『オニ』は現れなかったらしい。
その男子が、封印の為に、自らの能力を込めた刀を作ったという。


その何世代か後に、『オニ』を刀の力で封印した者が棟隆(とうりゅう)、『オニ』になり封印された巫女が、朱桜だった。
封印を機に、封印した血族を朱桜、刀を作った血族を九栗、護るものを鏑木と、役目を分け後の世に語り継いだ。


『オニ』は、封印される間際に、「封印せしもの呪わん。いつの世か、お前達を喰らう。」そう言い残した。

その言葉を信じ、今まで血族としてかたりついできた。


何代かに一人、力の強い巫女が誕生しても、『オニ』に勝てず、その力を奪われた、と。


お爺様の話は、私の知らない事が多かった。

私の知っている限りでは、九栗、鏑木はまだ血縁者がいる。
だけど、棟隆はいない。
刀を持って『オニ』を封印した者。
その者がいなければ封印は出来ないのでは?

その事を尋ねると、

「棟隆の血は受け継がれている。だが、この村にはいない。外に出て、名を変えた。時が来たら現れるだろう。」

お爺様のお話が本当ならば、あの人は違う。お母様の旧姓も棟隆ではなかった。

刀を持つことは出来たけど、扱うことが出来たのかはわからない。

私が『オニ』にならなかったから・・・。

いつか『オニ』が復活するでしょう。
その時に、この記録が朱桜の血族に渡ることを祈ります。

~×月〇日 千影 ~


本の記録はここで終わりだった。