闇の鬼～影を纏いし者～

「もーー無理！！ 」


最初に音をあげたのは夏子だ。
無理してまで食べる必要はないのにな。


「それだけ食べれば十分じゃないか？ 」


「そうね。ずいぶん食べたんじゃない？ 」


テーブルには、かなりの量の品数があったはずだ。
それが、ほとんど残っていない。


「若いのね。さて、私は、部屋に戻りますね。あなた達はゆっくりしなさい。お風呂も入れますからね。」


「あっ！ ごちそうさまでした！ とても美味しかったです！ 」


千影さんも、夏子が可愛いらしい。
食事の礼はいらない、と言い、部屋に戻って行った。


「さて、本題に移るか。咲夜、さっきの本を出してもらえるか？ 」


テーブルを片付けてもらい、僕達は本と向き合った。


「何が書いてあるんですかね？ ちょっとドキドキしてきました。」


「開くわよ。」


咲夜が、本の表紙を捲ると。


～記録 ××年 ×月より ～


とだけ、書かれていた。


「ずいぶん前から書いてたんですね。これって、咲夜さんのオバァ様が若い頃って
ことですか？ 」


「そうね。年齢的に考えると、二十歳くらいじゃないかしら？ 」


「封印出来なかった。と言っていたが、もしかして、その事があったから書いたのか？ 」


「たぶんそうね。」


僕達は、千影さんから聞いた話を思い出しながらページを捲った。