「困ったもんだな。あの子は巻き込みたくないのに。」


「そうね。でも、夏子なら名案が浮かんで許可をもらってしまうんじゃない? もしそうなっても私達で守りましょう。」


「そうだな。」



夏子は実行すると決めると色々提案して、許可をもらうタイプだ。
今日のうちに連絡がくるだろう。



「さぁ、僕達も出よう。何かあったんだろ? 隣町にも行ってみようと思っている。その間に聞かせてくれるかい? 」


「ええ。隣町の図書館は、検索システムがしっかりしているから調べやすいかもしれないわね。いいわ。行きましょう。」



僕達は図書館を出て駅に向かった。


いつもなら車で移動だが、たまには歩いてみない? と、咲夜に言われ、徒歩と電車での移動だ。



「話をするなら、食事をしながらでも大丈夫か? 調べ物を始めたら、昼抜きになる。」


「あら? 食事の心配? 珍しいわね。」


「珈琲の美味しい店がいいな。」


「じゃあ、駅前でいいんじゃない? 挽きたてが飲めるもの。」



僕達は、駅前にある喫茶店に向かった。



静かな雰囲気の店だ。
奥の席に座り、珈琲と軽食を注文した。





「期限は私の誕生日。間違いないわ。」


前振りなく咲夜は言った。


「あと2ヶ月か。近いな。言うほど時間が残っていないのか。」



咲夜の誕生日は九月だ。
夏休みが始まって数日過ぎた。
残りの日数で出来ることを考えなければならない。


「オバァ様にお会いするのが重要になるわ。たぶん、同じ夢を見ているはずよ。いえ、もしかしたらオバァ様の方がハッキリと視ているかも。」



咲夜には、不思議な力がある。
遠い先祖が、巫女だったと聞いている。
霊感? というのか、そういった力をもっている。
もちろんオバァ様もだ。


「内容は? 覚えているんだろ?」


「ええ。いつものように声が聞こえたの。



闇が来る。『オニ』が来る。



その後よ、血の早いものから順に。誕生日を迎える日に。封印は・・・・・・って。

最後の方は聴き取れなかったの。

その後、場面が変わって、私の誕生日に、どこかの洞窟のような場所にいるの。そこで黒い影に包まれるわ。

場面がクルクル変わってしまうんだけど、刀を持った人がいたわね。他に2人。

今回はハッキリしていたわ。ただ、肝心の顔がわからないのよ。そこだけ、ボヤけてしまって。」




今までの夢でわかったのは、僕らの他に2人いること、刀が必要、特定の場所、があるようだ。



「『オニ』がくる・・・・・・か。黒い影に包まれるんだな? 早いものってなんだ? 咲夜だけじゃないのか? 」


「たぶん、美冬ね。私がダメなら美冬がオニになると思うの。」


「生まれた順番ね。美冬か・・・・・・。僕達で終わりにしよう。」


「もちろんよ。」


僕達は、食事を済ませ、隣町にむかった。