「本当に広いですね・・・。2階に何部屋あるんですか? 」


2階にあがった夏子の一言目。
旅館のような広さだな。
廊下に並ぶ部屋の扉。
用意された部屋って言われても、どれなんだ?


「何部屋だったかしら? 数えたことはないわね。私も、子供の頃しか来てないから。でも、どの部屋も使えるはずよ。オバァ様の事だから、好きな部屋を使っていいという意味よ。」


「好きな部屋ですか。どれも同じに見える! でも、私真ん中!! 」


そう言って、夏子は中央の部屋の扉を開け、中に入っていった。


「僕らはどうする? 」


これだけ部屋があるなら、どこでもいいと思ってしまう。


「そうね。ここでいいんじゃない? 夏子じゃないけど、どの部屋も同じよ。」


ふふふ。と笑いながら、咲夜が選んだのは、夏子の部屋から1つ離れた部屋だ。


僕達は、部屋に荷物を置いて、下の階に降りた。


「奥の書斎って言っていたな。」


僕らは、1番奥にある扉の前で深呼吸した。