「お話、ありがとうございました。とても貴重な内容でした。」


「いいですよ。語り継がなければならない話なんですがね。娘も孫も興味がないようで。この土地の人じゃないかもしれんが聞いてくれてありがとう。どこかで思い出したら、この村であった話だと語り継いでください。」


そう言って、サトさんは頭を下げた。


「お婆ちゃん! 何言ってるの? 大丈夫だよ! ちゃんと伝えるから! ちゃんと伝えなきゃいけない事だもん! 」


珍しく夏子が興奮している。
歴史が好きな子だからな。語り継がれないと言われたら、語り継ぐしかない! と言うだろう。


「カッカッカッ。ありがとね。本当にいい娘さんだ。村に嫁に来りゃァいい。」


「えっ? 私、イケメンがいいんだけど・・・。いますか? 」


判断基準はそこか?
イケメンならいいのか?
夏子の言動は、いつ見ても、聞いてもハラハラするな。


「色男ならおるよ。わしゃぁここにおるで、いつでも来なさい。」



そう言って、サトさんは腰を上げた。


「こちらこそ、本当にありがとうございました。お仕事の手まで止めてしまって。」


気にしないでいい。と言って、サトさんは仕事に戻って行った。


「お嫁さんかぁ・・・。ここに? 私が? うーん・・・・・・考えられないかも。」


夏子は1人でブツブツ言っている。

咲夜は、まだ考え事をしているようだ。


「どうした? さっきの話から何かわかりそうなのか? 」


僕は、聞いてみた。


「ええ。鏑木家。聞き覚えがあるわ。やはりオバァ様に会わないと駄目ね。」