「どんな?って言われてもな。それ自体を探しているわけじゃないからな。」


「??

そうなんですか??」



夏子は、目を丸くしてキョトンとしている。



「それにまつわる話を探していたんだよ。」



話がうまく通じなかったのか、夏子は困っている。



そんな話をしていると、僕の後ろから声が聞こえた。




「あらあら、夏子にバレちゃったの? だめね。2人きりって言ったのに。」



そう言いながら、僕の横に座ったのは咲夜。



「咲夜さん!! もう! 今日も綺麗すぎなんですけど! 」



咲夜は、淡いグリーンのワンピースに、白の帽子を被っている。

夏子曰く、咲夜は綺麗な部類に入るらしい。

僕は、あまり気にしたことはないが、夏子は羨ましがっている。



「ありがと。」



ふふふ。と夏子に微笑んでいる。



「ところで夏子、いいの? こんな所にいて。浩介君が寂しそうに歩いていったわよ? また、喧嘩でもしたの?」



咲夜も、浩介に会ったんだな。僕と同じ事を聞いている。



「だから、あんなやつ・・・・・・
どうっ!!!でもいいんです! 2人とも、同じ事聞かないでくださいよ。」



プクッと頬を膨らませ、夏子は怒った。
たいした喧嘩じゃなさそうだが、暫くはふれないほうがよさそうだ。



「あらあら、怒らせちゃったわね。」



そう言いながら、楽しそうにしている咲夜の表情に影がある。

何かあったんだろう。

ここでも手掛かりは無さそうだし、切り上げた方がよさそうだな。



「さて、調べ物も終わりだ。ここでは見つからないようだしな。」



「そうね。私達だけじゃ限界があるわね。やっぱり、一度オバァ様の処へ行ってみた方がいいかしら? 」



僕達だけでは探せないか・・・。少しでも情報が掴めれば、と思っていたんだが。


「もう終わりですか?
・・・って 咲夜さんのオバァ様ってどこに住んでるんですか? 私もいっていいですか? いいですよね?





・・・・・・いえ、ついてきます! 」


夏子の前で迂闊だったな。
こうなったら、どこまでも付いてきそうな勢いだ。



「遠いわよ? 泊まりにもなるだろうし、夏子には厳しいんじゃない?」



夏子の両親は少し厳しい人だ。
父親は大手のお偉いさん。
母親は茶道の家元の出だ。



高校卒業までは厳しくする。と言っていたのを聞いたことがある。
来年は大学受験を控えている夏子だ。
夏休みとはいえ、泊まりで出かけることは難しいだろう。



「説得します!! 絶対一緒に行かないとダメな気がするんです! 私、帰ります! 後でメールしますね!! 」



言うより早く図書館を出て行った。