「いいですよ。詳しくって言ってもねぇ。そうだねぇ･･････。

ちょっと長くなるよ？

年寄りの話なんでねぇ。 時間は大丈夫かい？ 」


「大丈夫です。お願いします。」


長くなるか･･･。

どのレベルの話なんだろうか。

僕達は、作業場から少し離れたベンチに腰を下ろした。


サトさんは、遠くを見るような目で、ゆっくりとした口調で話し始めた。


「昔々、何百年も前の話だという。わしゃね、母や祖母から聞かされてきたんだよ。

この村には、それは綺麗な巫女さんがいたんだと。ある時、村に災厄が訪れた。真っ黒な闇のような妖怪だったという。巫女さんと、その家系の者達が、村を守るために戦ったんじゃ。

倒しても、倒しても、妖怪は何度も襲ってきたらしい。だか、ある日を境に、妖怪は『オニ』になったという。どうしてそうなったのかは知らんがの。巫女さんは、何度も『オニ』を封印しようと戦ってきた。何百年も続いたが、ある年の巫女さんが、封印に成功し、その年から『オニ』は出なくなったという。いつ封印がとけるかもしれんと、巫女さんの血筋である鏑木家が代々守人として祠を守っているという話じゃ。」


ふう。とため息をついて、サトさんは口を閉じた。


「鏑木家･･･間違いじゃないですね？ 」


咲夜が聞いた。
何か思い当たるのか？


「ん？ 間違いじゃぁないよ。歳はとっても記憶はなくならんよ。」


カッカッカッと笑っている。
記憶も口調もしっかりしている。


「なんか、すごい話ですね。何百年も続いてるなんて。」


「まあ、いまとなっちゃ昔話だよ。だぁれも見たことないからね、子供達に話しても信じないよ。」


ということは、最近は『オニ』の復活がなかったということか。
なぜ今なんだ？
この時代？ 咲夜だからか？
疑問が浮いては消え、心を乱す。