「本当か?! まさか、あなたがサトさんですか? 」


「ええ、私は東雲(シノノメ)サトですよ。」


館長に教えて貰った人だ。


「へぇ! お婆ちゃん、シノノメって苗字なんだ! どんな字を書くんですか? 」


「ん? 東の雲と書いてシノノメだよ。」


「東の雲でシノノメ。どうやったらそうなるんですかね? 」


たぶん当て字のようなものだろう。
珍しい苗字だ。


「どうやったらそう読めるかは、自分で調べるのが1番だ。すみません。館長さんから聞いて、お話を伺おうと思っていたんです。」


「私の知っていることでよければ聞いてくださいな。」


夏子の失礼も気にせず、絶えず笑顔で対応してくれている。


「ありがとうございます。夏子は、何を聞いたんだい? 」


同じことを聞くのも失礼だろう。
夏子が聞いた話を、先に聞くことにした。


「私が聞いたのは、昔からある怖い話ってありますか? 例えば子供を怒る時とか? って。」


なるほどな。聞き方としては間違ってない。


「お婆ちゃんに教えて貰ったのは、昔からこの村には『オニ』が封印されてるって。悪い事をすると、『オニ』が出てきて連れていかれるぞ! って。この『オニ』って咲夜さんが探している『オニ』とおなじですかね? 」


「たぶん同じだろうな。サトさん、もう少し詳しく教えて頂いても宜しいですか? 」


僕は、高鳴る鼓動を抑えた。
確信に近づけるのか?